(論点)相続の生前対策、5つのポイント

2024年07月22日

生前対策を考えるとき、相続発生した場合を想定して行います。しかし、何から手を付けていいやらわからない方も多いのではと思います。今回、専門家への相談も含め、具体的な内容について少しお話をしたいと思います。

目次

1.遺言書の作成

2.生前贈与

3.不動産の活用

4.生命保険の活用

5.専門家に相談


1.遺言書の作成

 遺言書の作成は相続対策の基本です。遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類がありますが、公正証書遺言が最も一般的で信頼性が高いです。公証人の立会いのもと作成され、改ざんの心配がないため、法的効力が強いです。遺言書を作成することで、遺産分割の方法を明確にし、相続人間のトラブルを未然に防ぐことができます。特に、家族構成が複雑な場合や特定の相続人に多く遺したい場合などは、遺言書を作成することが有効です。また、遺言執行者を指定することで、遺産分割の手続きがスムーズに進むようになります。

2.生前贈与

 生前贈与は、相続財産を減少させることで相続税の負担を軽減する方法です。年間110万円までの贈与は非課税であるため、この非課税枠を活用して少額ずつ財産を贈与することが一般的です。また、特定の目的のための贈与も有効です。例えば、教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与には、それぞれ非課税枠が設けられており、これを活用することで、子供や孫のための資金を提供しつつ、相続税の課税対象額を減少させることができます。さらに、住宅取得資金の贈与も非課税枠があるため、家族の住宅購入を支援しつつ、相続税対策を行うことが可能です。

※暦年贈与は、令和6年1月1日から相続発生時からさかのぼって7年間分の贈与を相続財産に組み戻すことになっております。

3.不動産の活用

 不動産は相続財産の中でも大きな割合を占めることが多く、これを有効に活用することで相続税対策が可能です。例えば、不動産を賃貸物件として運用することで収益を得ることができます。また、不動産の評価額は市場価格よりも低くなることが多いため、相続税の負担を軽減する効果があります。持ち家を子供名義に変更することで、生前贈与の非課税枠を利用して相続税の負担を軽減することも考えられます。ただし、不動産の運用や名義変更には法的な手続きや費用がかかるため、専門家のアドバイスを受けることが重要です。

※実際、これを活用されている方もいます。しかし、融資の額が大きく、不動産の評価の額が小さくなるといった、額が大きい内容での節税対策になりますので、利用できる方は限られます。

4.生命保険の活用

 生命保険は、相続税対策として非常に有効な手段です。生命保険金には、法定相続人1人当たり500万円の非課税枠が設けられており、この枠を活用することで相続税の負担を軽減することができます。また、生命保険金は受取人が指定されているため、遺産分割協議を経ずに迅速に支給されるメリットもあります。これにより、相続税の支払い資金を確保することができるため、相続人が現金不足に陥るリスクを軽減できます。さらに、生命保険は契約者が自由に受取人を指定できるため、特定の相続人に対して確実に財産を遺すことができます。

5.専門家に相談

 相続対策は非常に複雑であり、個々の状況に応じた最適な対策を講じるためには、専門家の助言が欠かせません。税理士や弁護士、司法書士などの専門家に相談することで、最新の法改正や税制に基づいた適切な対策を講じることができます。例えば、税理士は相続税の申告や生前贈与の計画において有益なアドバイスを提供し、弁護士は遺言書の作成や遺産分割協議の進行をサポートします。専門家のアドバイスを受けることで、相続税の負担を最小限に抑えつつ、円滑な相続手続きを実現できます。

まとめ

 これらの生前対策を組み合わせることで、相続税の負担を軽減し、相続人間のトラブルを防ぎ、円滑な財産の承継を実現することが可能です。早めに対策を始めることで、より効果的な相続対策が行えます。

 しかし、上記内容を検討する前に、まずは、専門家への相談を考えてください。分からない状態での対策は、実際何も効力がないケースもございます。せっかくの対策を効果的に実現するためにも、専門家への相談は欠かせませんからね。

最新のブログ記事

令和6年9月18日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。

「物事がうまくいかない場合、『執着』を手放すことで、自分に『空き』ができ、新たな事柄を取得できる」という考え方は、古くから多くの哲学や宗教、心理学において重要なテーマとされています。この考え方の背景には、執着が私たちの心や思考を縛りつけ、視野を狭めることがあるという認識があります。ここでは、執着を手放すことの重要性と、それがどのように新たなチャンスや可能性をもたらすのかについて考えてみます。

「謝られたら許さなければならないか?」という問いは、倫理的、心理的、社会的な側面から深く考察できる問題です。この問いには明確な正解があるわけではなく、状況や個々の価値観、社会の文化的背景により結論は異なります。しかし、許すか許さないかの判断はこちら側にある訳で、自由だとも考えますが・・・。

<