(論点)不動産登記簿の名義人の住所について

2024年12月20日

不動産登記簿に記載されている名義人の住所が、平成の大合併前の古い住所である場合、その住所の扱いには地域によって違いが生じることがあります。特に香川県の法務局では、「読み替え」という取り扱いが行われることがあり、この措置により、住所変更登記をせずに、登記簿上の旧住所が新しい住所として認められる場合があります。この記事では、不動産登記簿に記載された名義人の住所に関連する手続きの概要について、以下の2つのポイントを中心に説明します。

目次

1. 住所変更証明書が不要なケース

2. 資料で住所証明ができない場合の対応

まとめ


1. 住所変更証明書が不要なケース

 通常、相続による所有権移転登記を行う際、被相続人の住所が大合併前のものである場合、住所変更を証明するために市役所や役場から住所変更証明書を取得し、添付書類として提出する必要があります。この証明書は通常無料で発行され、旧住所と新住所が一連のものであることを証明するための重要な書類として使用されます。

 しかし、香川県内の法務局では、住所変更登記を行わなくても、登記簿上の旧住所が大合併後の新しい住所として「読み替え」してくれるため、住所変更証明書の提出が不要となるケースがあります。従来、住所変更証明書を取得して提出していた人にとって、この手続きの簡略化は大きなメリットとなります。証明書を用意するための手間や時間を節約できるうえ、書類作成の負担が軽減されるためです。ただし、この読み替えの措置は地域により異なるため、他の管区の法務局では対応が異なることがあります。したがって、相続手続きを行う際には、事前に該当地域の法務局に確認することが重要です。

2. 資料で住所証明ができない場合の対応

 被相続人の住所が、取得した資料から証明できない場合は、別の手段を用いる必要があります。このような場合、通常は「権利証」(登記済証や登記識別情報)が有効な証拠となります。しかし、権利証を紛失している場合や、権利証そのものが存在しない場合、相続人全員が署名した「上申書」を提出しなければならないことがあります。この上申書には、相続人全員の実印による押印と印鑑証明書の添付が必要となります。

 ここで注意すべき点は、印鑑証明書に関する取り扱いです。印鑑証明書には期限の制限がないものの、提出した印鑑証明書の「原本還付」が可能かどうかについては、法務局によって取り扱いが異なることがあります。インターネット上では、原本還付が可能であるとする情報と、そうでないとする情報が混在していますが、香川県の管区内の法務局では、原本還付は認められないという実例が報告されています。これは、提出された印鑑証明書が登記手続きのために法務局に保管されることを意味し、返却を希望する場合でもその原本は返却されないことがあります。

 このように、法務局によって取り扱いが異なる点については、事前に各法務局に問い合わせを行い、地域ごとのルールを確認することが重要です。特に相続手続きでは、提出書類が多岐にわたるため、一つ一つの手続きを丁寧に確認しながら進める必要があります。

まとめ

 不動産登記簿の名義人の住所に関して、香川県の法務局では住所変更登記を行わなくても新しい住所に読み替えることができるため、住所変更証明書が不要になる場合があります。また、登記簿上の住所を証明する資料がない場合には権利証や上申書が必要となり、印鑑証明書の原本還付については地域ごとに異なる取り扱いがあるため、香川県では還付ができないケースがあることに留意が必要です。これらの点を理解し、相続手続きにおける円滑な対応を進めるためには、法務局での事前確認が不可欠です。

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