遺産分割時の相続分の修正(寄与分・特別寄与料)

2023年05月27日

今まで遺産分割時の相続分の修正として、特別受益についてお話をしてきましたが、今回は寄与分・特別寄与料について解説いたします。こちらも、遺産分割を公平にするための規定です。算出方法については、特別受益と比較してお話をいたします。

目次

1.寄与分とは

2.特別寄与料とは

3.特別受益と寄与分の算出方法の比較

4.まとめ


1.寄与分とは

 被相続人の財産の維持または増加につき特別の寄与をした共同相続人(寄与分権利者)があるとき、その者の本来の相続分(法定相続分又は推定相続分)に一定の加算をして、相続人間の実質的衡平を測ろうとする制度です。要件は以下の通りです。

 ①共同相続人であること。

  ※内縁の妻、相続欠格者、非廃除者については、該当しません。

 ➁被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者であること。

  ※通常の寄与(一緒に生活をして身の回りの世話をすること)では足りず、特別の寄与(本来施設で介護をすべきところ、自宅で介護をすることなど)。こうすることで、本来、被相続人が支払うべき施設利用料を払わなくてよくなっているので、その分、特別の寄与をしたということになります。

 寄与分の確定手続きについては、原則として、共同相続人間の協議で行われます。(民法904条の2第1項)

 そして協議が整わない場合又は協議をすることができない場合には、家庭裁判所が、寄与者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定めることになります。(民法904条の2第2項)

2.特別寄与料とは

 被相続人に対して無償で療養看護等をした特別受益者は、その貢献を考慮するために方策として、相続人に対して寄与に応じた金銭の支払いを請求することができます。この金銭のことを特別寄与料と言います。ただし、誰でも特別寄与者になることはできず要件があります。

 ①被相続人の親族であること。

  ※相続人、相続放棄者、相続欠格者、非廃除者は該当しません。

   (長男の配偶者などが該当します。)

 ➁無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたこと。

 

 特別寄与料の価額の確定は、原則として、特別寄与者と相続人間の協議により行われます。(民法1050条第2項)

 協議が整わないとき又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、特別寄与者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料を定めることになります。(民法1050条第3項)

※寄与分の請求と特別寄与料の請求の相違点の一つとして、「請求に期間制限」がある点があります。寄与分には期間制限は設けられていないのですが、特別寄与料には期間制限があります。

 ①特別寄与者が相続の開始及び相続人を知ったときから6か月を経過

 ➁相続開始の時から1年を経過したとき

この時を経過してしまいましたら、特別寄与料の請求をすることはできません。

 ただし、寄与分も遺産分割協議の期間制限(5年・10年)ができましたので、こちらを過ぎた場合、相続人全員の合意がない限り請求できないことになります。

 

3.特別受益と寄与分の算出方法の比較

(特別受益)

※「足して引く」

(寄与分)

※「あらかじめ財産をよけておいて、あとで足す」

4.まとめ

 このように、遺産分割協議において相続分の修正には「特別受益」と「寄与分」があることを解説してきました。今まで制限がなかった遺産分割協議の期間が2023年4月1日より以下の内容で変更されましたので、特別受益・寄与分を考慮した遺産分割ができる期間が制限されます。

(図)

 また、2020年4月1日の民法改正で新たに規定されました「特別寄与料」は、相続人以外の被相続人の親族対象で、被相続人の寄与をした方にも、その請求権を認めるものですが、相続及び相続人を知ったときから6か月、相続発生から1年と比較的短期間の請求が認められていますので、該当する方は請求を検討することができるようになりました。分からない場合には、専門家の無料相談を活用することをお勧めいたします。

最新のブログ記事

令和7年4月16日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。

相続放棄とは、相続人が被相続人の財産を相続しない旨を家庭裁判所に申し立てる手続きであり、相続放棄をした者は民法上、初めから相続人ではなかったこととみなされます。しかし、相続放棄をした場合でも、相続税法上の取り扱いには注意が必要です。特に、相続放棄をした元相続人が生命保険金を受け取る場合や、遺贈を受ける場合における相続税の扱いについては、いくつかの重要なポイントがあります。本記事では、相続放棄した相続人の取り扱いに関連する相続税法上の問題点として、①生命保険金に関する非課税規定の適用、➁相続放棄した元相続人が遺贈を受ける場合の相続税2割加算について解説します。

遺産分割協議は、相続人間で相続財産をどのように分割するかを合意する重要な手続きです。しかし、合意後に様々な理由からその協議を解除する必要が生じる場合もあります。遺産分割協議の解除は、法律上の効力が生じた後であっても可能な場合がありますが、その条件や影響については慎重に検討する必要があります。本記事では、遺産分割協議の解除に関する基本的な知識と手続きについて解説し、実際に協議を解除する際に留意すべきポイントを探ります。

相続が発生すると、遺産分割協議を行い、相続人全員が合意した上で遺産分割協議書を作成することが一般的です。しかし、時折、いきなり遺産分割協議書と称する書面が送られてきて、「署名押印し、印鑑証明書を添えて返送してください」といった依頼が届くことがあります。このような状況では、何も考えずに書面に署名・押印するのは危険です。本記事では、突然の遺産分割協議書送付における問題点と、その際の適切な対応について、外部情報を参照しながら解説します。

<