兄(独身)が亡くなったが第三者の保証人になっている。どうすればいい?

2023年01月27日

今回ご相談いただいた方は、定年退職された弟夫婦でした。お兄様が先月亡くなられ、生前に第三者の保証人になっている話を聞いていたために、不安になり無料相談会に来られました。お兄様は、生涯独身で、両親は既に他界しているとのこと。具体的な金額は不明なのですが、保証人になっている兄の負債を負いたくないというのが趣旨でした。債務は、すでに倒産している友人の会社の保証人になっているとのことでした。

 相続順位は、第1順位が子供、いない場合、第2順位が両親、そしてご両親もいない場合には第3順位で兄弟姉妹となります。今回のケースでは、第3順位の兄弟姉妹である弟様となります。

 また、相続放棄は「相続があったことを知ったときから、3か月以内」に申述しなければなりません。今回は、相談時点で1か月でした。

 まずは、お兄様の相続財産について、処分行為をしていないのかを尋ねてみました。土地と建物、そして預貯金があったが、事故で突然無くなったため、葬儀費用を含め弟夫婦が立て替えているとのことでした。もしこの時点で、お兄様の預貯金を取り崩していた場合には、相続財産の処分があったとみなされ「相続放棄」ができなくなります。今回は該当しないため、「相続放棄」の提案をいたしました。

 相続放棄の手順は、まずは「相続放棄申述書」の提出をしなければなりません。必要な添付書類等については「相続放棄」に記載してありますので、参照してください。

 他にご兄弟はいないか確認したところ、三男がいるとのことでしたので、三男様にも相続放棄の検討を確認していただくようお話をいたしました。

 後日、次男、三男共に相続放棄をしたいとのご依頼を受けましたので、こちらで申述書を作成し家庭裁判所に提出していただきました。約2週間後に確認書と照会書・回答書が郵送されたとのご連絡がありましたので、回答書に「すでに家計が独立していて、生活が安定しており、相続による財産は不要である旨」を記載していただき返送していただきました。さらにそれから2週間後に「相続放棄申述受理通知書」が送られてきたとのご連絡を受けましたので、その中に入っている「相続放棄申述受理証明書の請求」をしていただき今回の手続きを終了いたしました。相続債権者から債務履行の請求が来た場合には、「相続放棄受理通知書」は渡さずに「相続放棄申述受理証明書」で対応するように話をいたしました。

追記)今回のケースでは「相続人不存在」の状態になるのですが、その場合、関係者または利害関係人から「相続財産管理人」の選任を予納金を支払って選任していただき、相続債権者、相続人の調査をしていただくことになるのですが、予納金も数十万円から百万円と高額であるので、不動産や預貯金の管理は必要ですが、債権者から何らかの連絡があるまで様子を見るようにアドバイスいたしました。

 おそらく、後日、債権者から不動産と預貯金の差し押さえるため、家庭裁判所に相続財産管理人選任の申し立てが行われると思われます。

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