(論点)相続発生後、期間別にすべきことまとめ

2025年01月29日

相続が発生した場合、相続人は複数の手続きを段階的に進める必要があります。これらの手続きは、法的な期間が定められているものもあり、適切なタイミングで進めなければ不利益を被ることがあります。ここでは、相続発生後の手続きと期限を大まかに分けて説明します。

目次

1. 7日以内:死亡届の提出と火葬許可証の取得

2. 3ヶ月以内:相続放棄や限定承認の申し立て

3. 4ヶ月以内:準確定申告の提出

4. 10ヶ月以内:相続税の申告と納付

5. 1年以内:遺留分侵害額請求の権利行使

6. その他の手続き


1. 7日以内:死亡届の提出と火葬許可証の取得

 相続が発生した場合、まず最初に行わなければならないのは、死亡届の提出です。死亡届は、死亡が確認された日から7日以内に市区町村役場に提出しなければなりません。これと同時に火葬許可証を取得し、葬儀や火葬の手続きを進めます。この期間は故人の逝去に伴う感情的な整理がつかない中での作業になるため、家族にとっては非常に辛い時期です。

2. 3ヶ月以内:相続放棄や限定承認の申し立て

 相続に関する最初の重要な期限は「相続の承認または放棄の選択」に関わるものです。相続人が故人の資産を引き継ぐかどうかを決定するため、3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。相続を放棄する場合は「相続放棄」の手続き、債務が資産を超えるかどうか不安な場合は「限定承認」の手続きを行います。これを過ぎると、自動的に相続を単純承認したとみなされ、故人の資産だけでなく、債務も引き継ぐことになります。

3. 4ヶ月以内:準確定申告の提出

 次に、故人が個人事業主や自営業者であった場合、相続開始日から4ヶ月以内に「準確定申告」を行う必要があります。準確定申告とは、故人が亡くなる年の1月1日から亡くなる日までの所得に対して行う確定申告のことです。相続人全員が連名で行うことが求められ、申告漏れがあると相続人に税負担がかかるため、専門家のサポートを得ることが推奨されます。

4. 10ヶ月以内:相続税の申告と納付

 相続税の申告と納付は、相続が発生してから10ヶ月以内に行う必要があります。この期間内に申告を行わないと、延滞税や無申告加算税が発生する可能性があります。相続税は、相続人が取得した財産の総額が基礎控除額を超えた場合に課されるもので、基礎控除額は「3000万円 + (600万円 × 相続人の数)」と定められています。

 相続税の申告は財産目録の作成が必要であり、土地や株式などの評価方法が複雑なため、税理士などの専門家の助けを借りて進めることが一般的です。また、相続税の納付方法としては、現金納付が基本ですが、納税資金が不足している場合は、分割払い(延納)や物納(不動産や有価証券などでの納付)が認められることがあります。

5. 1年以内:遺留分侵害額請求の権利行使

 遺留分とは、相続人が最低限受け取ることができる財産の割合を指します。故人の遺言などで、遺留分を侵害する形で財産が分配されていた場合、遺留分を持つ相続人は相続開始から1年以内に「遺留分侵害額請求」の権利を行使する必要があります。この請求を行わなければ、遺留分を取り戻す権利が失われるため注意が必要です。

6. その他の手続き

 上記の法定期限のある手続きに加え、相続発生後に必要となるその他の手続きとして、以下のものがあります。

銀行口座の凍結解除:銀行口座は、相続が発生すると凍結されます。凍結を解除し、預金を引き出すためには、遺産分割協議書の提出や相続人全員の同意が必要です。

遺産分割協議の実施:遺産分割協議とは、相続人全員で故人の財産をどのように分割するかを決める話し合いです。この協議が整わないと、財産の分割や名義変更が進められないため、円滑に協議を進めることが求められます。

不動産の名義変更:故人が所有していた不動産の名義を相続人に変更する手続きです。名義変更が完了していないと、その不動産を売却したり担保に入れることができません。令和6年4月には、相続登記が義務化されており、相続発生から3年以内に登記が実施されない場合には、10万円以下の過料が科されることになります。

 以上が、相続が発生した際に必要な主な手続きとその期限の概要です。相続発生後は、人生を共にした伴侶との別れで、気持ちがふさがってしまうことも、十分理解はできます。が、手続きには期間が決められている者もあります。もし、手続きがわからない方は、専門知識を要する部分が多いため、司法書士や税理士などの専門家の助言を受けながら進めることが望ましいでしょう。

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