①会社の継続登記
みなし解散登記が行われた後、会社を継続するためには「会社継続の登記」を行う必要があります。しかし、その前に「法定清算人の登記」を行わなければなりません。法定清算人とは、解散後の会社の財産を清算する責任者であり、解散前の役員(取締役や理事)だった者全員が対象なので、この者たちを正式に登記することで、会社継続手続きに進める準備が整います。登記簿を取得しても現在事項証明書では、取締役会や取締役、会計参与、会計監査人など、監査役関連の役員以外は、職権で抹消されており、登記簿に反映されませんので、必ず「全部事項証明書」を取得してください。そこで抹消されている取締役の方が清算人となり、代表取締役の方が代表清算人となります。登録免許税は9000円です。
法定清算人の登記が完了した後に、会社継続の登記を行うことで、会社の法人格が復活し、事業を再開することが可能となります。登記は「会社継続並びに取締役及び代表取締役の就任」(みなし解散前に取締役のみの構成だった場合)となります。登録免許税は、役員変更3万(資本金1億円以下の場合1万円)、会社継続3万円となります。
※みなし解散による解散の場合には、会社継続の手続きができる期間が解散後3年以内です。
➁会社解散・清算結了登記をする場合
みなし解散の登記を活かして、そのまま生産活動に入るという選択肢もあると思います。
この場合、みなし解散の登記しかありませんので、清算人の登記が必要となります。この清算人の登記の場合、株主総会で選任した清算人をいきなり登記できるのかというと、それはできません。なぜなら、上記にも説明した通り、みなし解散の登記が入った場合、その時点で「法定清算人」が就任しているからです。仮に3人の取締役がいて、その中の代表者だった取締役のみの登記をしたい場合には、いったん「清算人の就任」の登記で、みなし解散登記の日付で、法定清算人(事例の場合、3人分すべて)の就任を登記します。その後、2名の清算人の退任登記を実施することになります。
その後、現務の終了・債務の返済・債権の回収・残余財産の分配という生産活動に入ります。官報公告を行いますが、この広告後2か月経過で、生産活動が終わっていれば、株主総会にて、清算結了の決議を行い、「清算結了の登記」を実施します。登録免許税は、2000円です。
3.まとめ
みなし解散について解説をしてきました。みなし解散の通知書が届いた段階で、専門家に相談してください。許認可を受けている会社・法人の代表者の方は、特にです。みなし解散の登記が入る前で、役員の任期についての登記を入れる際、2パターン考えられます。一つは、「選任懈怠(選んでなかった)」です。選任懈怠は、選んでないので、今選任しますというものです。しかし、許認可が必要な会社は、これを選択するべきではありません。役員選任懈怠から今回の会社の実態を証明できなくなるためです。下手をすれば、許認可を取り消される可能性もあります。この場合には、「登記懈怠(選任してたけど登記するのを忘れてた)」で行うべきです。選任はしていたので、登記懈怠による過料は免れませんが、役員がずっと存続していた証明はできます。
そして、みなし解散登記が入ってしまった場合、解散手続きに入る場合も会社継続をする場合も共通で「法定清算人の就任登記」が必要となります。