相続法律・税務無料相談会のご案内
令和6年12月18日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
随分前からある身元保証サービスを提供する法人が、利用者に「法人に全財産を相続させる」という遺言書と死因贈与契約書を作成し、親族がこれを無効とする裁判の判決が名古屋地裁で出ました。過去のブログでも、身元保証を提供する法人すべてが問題なのではなく、亡くなった後の財産を法人が総取りする仕組みを利用してる業者が問題であることは、お話をしてきました。内容を見ていきましょう。
目次
1.「全財産相続させる」本人の筆跡と違う契約無効の判決 高齢者の身元保証NPO敗訴(中日新聞記事より)
2.これまでも問題となっている身元保証サービス
3.何が問題なのか
4.まとめ
1.「全財産相続させる」本人の筆跡と違う契約無効の判決 高齢者の身元保証NPO敗訴(中日新聞記事より)
「身寄りのない高齢者らの身元保証を請け負う名古屋市内のNPO法人が、同市内の90歳と74歳の姉弟と交わした死亡後の贈与契約について、親族が「(姉弟の)署名は自筆でない」として契約無効の確認を求めた訴訟の判決が28日、名古屋地裁であり、棚井啓裁判官は「契約は無効」と親族の訴えを認めた。
判決によると、2022年8月、「私は全財産をNPO法人に相続させる」と記載され、姉弟がそれぞれ本人名義で署名、押印した遺言書が作成された。死亡と同時に全財産の所有権がNPO法人に移る死因贈与契約書も、本人名義の署名でそれぞれ作成された。」(記事引用終わり)
今回は、おひとり様ではなく、親族の方がいたので争いになっています。本当におひとり様の場合、争う相続人がいませんので、財産は遺言書や死因贈与契約先の法人のものになっていたのでしょう。また、身元保証サービスを提供しているのは、NPO法人だけとは限りません。
2.これまでも問題となっている身元保証サービス
(2021年1月30日 東京新聞)
「身寄りのない高齢者の身元保証代行を請け負う愛知県内のNPO法人が、死亡した高齢者との贈与契約に基づき金融機関に預金の返還を求めた訴訟の判決が名古屋地裁岡崎支部であり、近田正晴裁判官は「公序良俗に反する契約で無効」として請求を棄却した。高齢者と身元保証代行団体との間で交わされた、死亡時の財産の贈与契約(死因贈与契約)を無効とする司法判断は極めて珍しい。」(記事引用終わり)
こちらは、おひとり様の死亡後、契約に基づいて預金の支払いをしようとしたところ、金融機関が拒んだことで裁判となった事例です。
※以前、金融機関から後合わせで、「死因贈与契約書(公正証書ではない)」を持ってきた預金の承継屋を名乗る方に、預金の払い戻しができるかという問い合わせがありましたが、預金には譲渡禁止特約が付いています。知らないというのは通りません。なぜなら預金が自由に取引でき、詐欺の温床になってしまうためです。そのため、相続人全員の同意書がなければ、契約で譲渡をしようとしても譲渡禁止特約を主張できる旨アドバイスをしたことがあります。しかし、おひとり様の場合ですとこの判例から、「公序良俗に反する契約で無効」が言えそうですね。ただし、地裁の判断ではありますが。
3.何が問題なのか
第一に、身元保証サポートのサービスについて、法律上の整備がなされていません。それゆえに、各社サービス内容もまちまちです。金額が安いからということで契約しても、実際のサービス内容が、契約者にとって満足いくものとは限りません。
第二に、預託金を信託口口座など、安全な場所に保管管理できていないケースもある点です。自社の口座で管理していた場合、破産した場合、そのお金は債権者に差し押さえられてしまい、回収することはできないでしょう。
第三に、サービス提供会社の中には、「公正証書遺言」の内容に、「団体(法人)への寄付」を義務付けている場合があります。過去の判例で、とあるNPO法人がこれをしていたため、甥・姪から相続の侵害として訴えられ、最高裁で「無効」との判決が出ました。しかし、このケースでは、権利を侵害された相続人がいたために発覚したことであり、身寄りのない「おひとりさま」の場合、未だにこのようなことをしている団体(法人)があるそうです。
※今回は、この点で争いになっています。
「お世話になった団体に寄付して何が悪いんだ」との反論も聞こえてきそうですが、考えてみてください。あなたが重病を患い多額の医療費がかかるとき、医者と身元保証人との間で、あなたは治療してもらいたくても、あらかじめ決めておいた医療の方針を実施するとの話し合いがあった場合、どうすることもできません。悪い言い方をすれば「多額の治療費を使って治療すること=将来、団体が受ける実入りが減る」の関係になってしまっているため、果たして寄付前提の契約をした身元保証人が、あなたのご意見を聞いてくれるか疑問です。もちろん、寄付の義務を要求する団体・法人ばかりではありませんし、適切に身元保証サポートサービスを運用されている団体・法人もあります。
4.まとめ
今回の判決を受けて、過去の判例を調べていきますと、判例を見ていくと、昭和のものもありました。随分前から問題になっているわけですがなぜこのようなことがいまだに続いているのでしょうか?
それは、身元保証代行は監督官庁がなく、契約の不透明さがしばしば指摘されているにもかかわらず、何ら法整備ができていないためです。2016年には日本ライフ協会(東京)が高齢者からの預託金を流用していたことが発覚して破産し、社会問題になったという事件もありました。
監督官庁がなく、法律も整備されていない状態では、この手の事件は減らないと思います。
そんな中・・・・(次号に続く)
令和6年12月18日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
相続登記において、遺言書がある場合とない場合では、必要書類や手続きの流れに違いがあります。特に遺言書がある場合、手続きは比較的スムーズに進むことが多く、一方で遺産分割協議を伴う相続登記では、相続人全員の合意が必要なため、手続きが複雑化する可能性があります。以下では、遺言書がある場合とない場合の手続きについて、必要書類や注意点を修正・追加しながら比較します。
相続に関する相談の中で、特に遺言書がない場合、「相続人の確定」と「相続財産の確定」が重要なステップとなります。この2つの手続きが相続登記や相続税の申告に直接関わるため、確実かつ迅速に行う必要があります。以下では、それぞれの重要性とプロセスについて説明します。
「周りで相続税を払った人を知らない」方が多いのはなぜか。また、相続発生から半年後に税務署から青色の封筒(相続税についてのお知らせ)が送られる場合があります。この場合の対処方法について、解説しております。