行政書士業務(建設業許可):満たさなければならない要件

2023年05月31日

司法書士業務が増えてきて、なかなかできなかった行政書士業務の一つである建設業許可申請ですが、相談があり調査することになりました。この建築業許可ですが、税込み500万円以上の請負契約を受注することができるようになります。その代わり専門性を要求されますので、必要となる要件があります。一般建設業許可(都道府県)を取得するために満たさなければならない要件は何でしょうか。解説していきます。

目次

1.誠実性

2.欠格

3.財産的基礎

4.社会保険

5.営業所

6.専任技術者

7.経営業務の管理責任者

8.まとめ


1.誠実性

 建設業許可でいう誠実性とは何なのでしょうか。この誠実性がなければ許可は当然出ません。それでは、「誠実性がないと判断される定義」についてみていきます。

 「建設の請負契約時に、詐欺や横領、請負契約に違反する行為が明らかな者」とされています。それでは、誠実性がみられる対象については、

 ①法人:役員全員

 ➁個人事業主:本人

です。通常、誠実性を判断するには、審査をする方の主観によることが大きいです。何より書類審査で、「誠実性がない」と判断されてしまうケースはとても稀ですので、普通に申請していれば問題はないです。

2.欠格

 欠格要件の対象者は、法人の場合「役員全員」、個人の場合は「本人」となります。

  (欠格要件)

  ㋐自己破産したことはあるか?

  ㋑過去、建設業許可を取り消されたことがあるか?

  ㋒過去、建設業の営業停止処分を受けたことがあるか?

  ㋓禁固刑、罰金刑、懲役刑を受けたことはあるか?

  ㋔未成年者か?

  ㋕暴力団と関係があるか?

  ㋖精神的な障害があると診断された経験はあるか?

 これらの欠格要件は、許可申請書の提出時のみならず許可取得後も見られます。

 もし、許可後に欠格要件に該当した場合や、申請書にウソの記載をして許可を受けた場合には、許可が取り消されることがあります。

3.財産的基礎

 財産的基礎要件は「500万円(一般)」です。500万円以上の金額を持っていることの証明が必要となります。照明方法は以下の2つです。

 ㋐直近の決算日の貸借対照表(貸借対照表の純資産額が500万円以上あること)

 ㋐の額が500万円に満たない場合

 ㋑銀行の預金残高証明書(銀行口座の預金に500万円以上あること)

  ※預金残高証明書は、申請書が受理される1か月以内が有効期限とされています。

4.社会保険

 社会保険要件とは

 ①健康保険

  ㋐自治体が管轄する国民健康保険

  ㋑国民健康保険組合(土建国保、建設国保)

  ㋒全国健康保険協会(通称、協会けんぽ)

  ㋓健康保険組合

  の4つの保険がありますが、いずれかに該当するだけではダメで、適切な健康保険に加入しておかなければなりません。法人(個人事業主で、常時5人以上労働者を雇用している)の場合㋑㋒㋓㋔、個人事業主の場合㋐㋑

 ➁厚生年金保険

 ③雇用保険(週に20時間以上働く労働者)

 この3つの保険に加入義務のある事業者は、適切に加入していないと建設業許可の発行はできません。

5.営業所

 建設業法上、営業所では建設工事の請負契約を締結するということが想定されています。よって、顧客を招き入れることができる接客スペース・事業西洋のスペースを有する営業所を確保できていることが必要です。バーチャルオフィスのような接客スペースを持たない営業所では許可は取れません。また、接客スペースが確保だけされているだけでは要件を充たさず、営業所にはプライバシーが確保された自社専用のスペースがあるかどうかが大事になってきます。賃貸のオフィスで、フロア内を他社従業員が出入りできるような場合は、自社専用スペースの確保ができていないとみられますので注意が必要です。

 他には、「電話番号がある(固定電話でないとだめな自治体もあります。)」「社名の標識を掲げている」「事務スペースがある」「郵便物が届く」「自宅を営業所にする場合は居住スペースと明確に区分する」といったものがあります。

6.専任技術者

 業種に対応する工事に必要な、知識・経験が豊富な専門性を有する技術者が「専任技術者」です。建設業許可は取得すれば、すべての建設にかかわる工事ができるわけではなく、この専任技術者の持っている資格などにより、29種類の業種から特定して許可を取得することとなります。そのため、建設業許可を取得するにあたり、どんな種類の許可を取得するのかを明確にする必要があります。

 また、専任技術者は1社専属でなければならないため、他の会社で専任技術者として登録されている有資格者等は、仮に雇用したとしても専任技術者として登録できないということになりますので、注意が必要です。

7.経営業務の管理責任者

 通称「経管」と呼ばれる方になるのですが、要件があります。

 ①法人であれば役員、個人であれば本人が「経営業務の管理責任者」要件を充たす必要があります。

 ➁常勤性があること。

  以下の2つの基準で判断されます。

  (1)主たる営業所に通える範囲に住んでいるか?

   (door-to-doorで片道2時間以内の場所)

  (2)自社で毎日所定の時間中、職務に従事しているか?

   (基本的に毎日所定時間は許可をとる会社で牽制業の経営のプロとして、これから働くことを証明しなくてはいけないため。当然言葉だけではダメで、客観的に証明する手段として、適切な社会保険への加入ということになります。)

   ※(ポイント)

    法人の場合:経営管理者の健康保険証の写しを提出し、申請会社の名称が保険証から確認できれば大丈夫です。

    個人事業主の場合:国民健康保険証の写しと直近の確定申告書の提出が必要です。間違っても、「他の会社名が印字された健康保険証」を提出しないこと。常勤性を否定することになります。

  です。よって、非常勤・社外の役員だとだめということになります。

 ③欠格要件に該当しないこと。

  欠格要件

  ㋐自己破産したことはあるか?

  ㋑過去、建設業許可を取り消されたことがあるか?

  ㋒過去、建設業の営業停止処分を受けたことがあるか?

  ㋓禁固刑、罰金刑、懲役刑を受けたことはあるか?

  ㋔未成年者か?

  ㋕暴力団と関係があるか?

  ㋖精神的な障害があると診断された経験はあるか?

  (注意点)経営管理者はもちろん、他の役員、支店長も対象になります。

 ④建設業の経営経験が5年以上あること。

  今回の申請において、経営管理者になる方の過去に在籍していた会社について

  ※請負工事のみが経営経験の対象となりますので、許可会社に所属していたとしても、人工(にんく)出し業務のみでは経験として認められませんので注意が必要です。

8.まとめ

 都道府県の一般の建設業許可の取得について解説してきました。ご依頼者の内容によっては、一般的な上記開設の証明書以外の書類が必要になるケースなども出てきます。行政窓口・専門家への相談を事前にしておくようにしましょう。

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