自筆証書遺言の法務局の遺言書保管制度
2020年7月10日から始まりました「遺言書保管制度」。私は、令和4年6月17日に実際に自身の遺言書を保管いたしました。その際の手続きの方法やかかった費用等についてお話いたします。ただし、公正証書遺言のように内容までのチェックは入りません。あくまで形式上の確認のみとなりますので、専門家のサポートを必ず受けるようにしてください。せっかく作った遺言書が、無効になってしまうケースがあるからです。それではまいりましょう。
① 自筆証書遺言の作成をする
この場合、注意すべきは、保管に際しデータ化しますので、A4の用紙で余白等の形式上の決まりが存在ます。
また、物件情報についても同様に決まりが存在しますので、決まりに従って作成します。
➁ 保管申請する遺言書保管所(法務局)を定める
- 遺言者の住所地を管轄する遺言書保管所
- 遺言者の本籍地を管轄する遺言保管所
- 遺言者が所有する不動産の所在地を換価留守る遺言書保管所
※注意点として、2通目以降追加で保管申請をする場合には、最初に保管申請した遺言保管所に対してしか行うことができません。
③ 遺言書の保管場所の法務局の担当部署に電話をかけて「予約をする」
この手続きは、いつでも遺言書保管所に出向いて申請できるわけではなく、予約をとらなければなりません。
また、本制度の各種手続きは、内容に不備等がない場合は即日処理されます。予約した時間に申請書類を持ち込めば確認作業後に手続きが開始されます。
※処理に少し時間がかかりますので、時間に余裕のある日程を予約してください。私の場合、2時間弱ほどかかりました。
④ 遺言書保管所に来庁し、保管申請をする
予約した日時に遺言者ご本人が遺言書保管所に行きます。
その時に持参する書類は以下の通り
- 遺言書 ホチキス止めはせず、バラバラのまま持ち込む
- 保管申請書 作成せずに行きますと予約時間内に手続きが終わらないため、再度予約しなければならなくなりますので、必ず事前に作成しておいてください。
- 住民票の写し 本籍及び筆頭者記載入りであって、マイナンバーや住民票コードの記載のないもので3か月以内のもの
- (遺言書を外国語で作成した場合)遺言書の日本語による翻訳文
- 顔写真付きの官公署から発行された身分証明書(運転免許証,マイナンバーカード等) 本人確認のため
- 手数料 遺言書1通につき3900円(印紙で)
➄ 手続き終了後、連絡が入りますので保管証を受け取る
保管証について
(1)保管証には,遺言者の氏名,出生の年月日,手続を行った遺言書保管所の名称及び保管番号が記載されています。
※保管番号は,保管した遺言書を特定するための重要な番号です。
(2)保管証は,再発行ができませんので紛失にはご留意ください。
(3)遺言書保管所に遺言書を預けていることをご家族等に伝える際,保管証の写しを渡すなどされると確実です。
(4)保管番号が分かると,保管した遺言書の閲覧,遺言書の保管の申請の撤回,変更の届出の各手続や,相続開始後に相続人などの方々が遺言書情報証明書の交付の請求を行うとき便利です。
それでは、この保管制度の利点はどこにあるのでしょうか。
- 家庭裁判所の検認の手続きが不要となります
- 紛失のリスクがなくなります
- 公正証書遺言の手続き費用と比べると安価
しかし、初めにも書いた通り遺言書保管確認作業をする際、「遺言書の内容の確認」まではしてくれませんので、専門家によるサポートをお勧めいたします。
当該事務所では、自筆証書遺言のサポートを32500円~となります。