相続土地国庫帰属制度の統計データ

2024年01月24日

法務省HPにて、令和5年12月28日に令和5年11月30日現在の「相続土地国庫帰属制度の統計」が出ていましたので、ご紹介いたします。令和5年4月27日に始まった制度ですが、負動産である土地を国に引き取ってもらい管理してもらう制度です。相続登記義務化と併せて、所有者不明土地発生の抑止のための制度となります。

目次

1.相続土地国庫帰属制度とは

2.令和5年11月30日現在の状況(速報値)

3.まとめ


1.相続土地国庫帰属制度とは

 2021年4月に成立した法律です。 相続又は遺贈によって土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けて、その土地の所有権を手放して、国庫に帰属させることができる制度です。

 つまり、「相続した不要な土地の所有権を国に対して返すことができる制度」です。

 なんでもかんでも引き取ってくれるわけではなく、一定の要件があります。

 結論から言うと「抵当権等の設定や争いがなく、建物や樹木等がない更地」です。通常の管理や維持に必要以上の費用や労力を要する土地に関してはだめというわけです。

 それでは、具体的な該当してはいけない要件についてみていきましょう。

 ①建物がある土地

 ➁担保権又は使用収益及び収益を目的とする権利が設定されている土地

 ③通路など他人によって使用されている土地

 ④土壌汚染対策法に規定する特定有害物質で汚染されている土地

 ➄境界が明らかでない土地、その他所有権の存否、帰属や範囲に争いのある土地

 ⑥崖のある土地など、通常の管理にあたり過分の費用又は労力を要する土地

 ⑦工作物や樹木、車両が地上にある土地

 ⑧除去が必要なものが地下にある土地

 ⑨隣接する土地の所有者などと争訟をしなければ使えない土地

 ⑩その他、管理や処分をするにあたり過分の費用又は労力がかかる土地

 になります。建物や樹木、放置車などある場合、とりあえず撤去しなくてはいけません。

 上記10項目すべてに該当しなければ、晴れて本制度を利用することができるわけです。

2.令和5年11月30日現在の状況(速報値)

 ①申請件数 1349件

  (地目別)

    田・畑:522件

    宅地 :487件

    山林 :198件

    その他:142件

 ➁帰属件数 48件

  (種目別)

    宅地 :25件

    農用地:10件

    森林 : 2件

    その他:11件

③帰属土地が所在する都道府県

    北海道、宮城県、秋田県、福島県、群馬県、埼玉県、千葉県、

    富山県、福井県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、

    岡山県、広島県、徳島県、 香川県、愛媛県、佐賀県、熊本県、

    宮崎県、鹿児島県

 ④却下件数 0件

 ➄不承認件数 4件

 ⑥取下げ件数 92件

  ※ 取下げの原因の例

    ㋐自治体や国の機関による土地の有効活用が決定した

    ㋑隣接地所有者から土地の引き受けの申出があった

    ㋒農業委員会の調整等により農地として活用される見込みとなった

    ㋓審査の途中で却下、不承認相当であることが判明した

3.まとめ

 制度発足から順調に推移しているように見えます。

 統計データから見えてくるのは、相続土地国庫帰属制度に申請しつつ、負動産の処分について、隣地所有者への処分や農業委員会の農地のあっせんなどにも登録をしておき、うまくいけば取下げをして、ダメなら審査を待っているように見えました。

 このように負動産の処分の選択肢が増えたことで、並行して処分方法を実施していくことが、早期の処分につながるものと考えます。

最新のブログ記事

令和6年9月18日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。

「物事がうまくいかない場合、『執着』を手放すことで、自分に『空き』ができ、新たな事柄を取得できる」という考え方は、古くから多くの哲学や宗教、心理学において重要なテーマとされています。この考え方の背景には、執着が私たちの心や思考を縛りつけ、視野を狭めることがあるという認識があります。ここでは、執着を手放すことの重要性と、それがどのように新たなチャンスや可能性をもたらすのかについて考えてみます。

「謝られたら許さなければならないか?」という問いは、倫理的、心理的、社会的な側面から深く考察できる問題です。この問いには明確な正解があるわけではなく、状況や個々の価値観、社会の文化的背景により結論は異なります。しかし、許すか許さないかの判断はこちら側にある訳で、自由だとも考えますが・・・。

<