共有名義の不動産。相続で遺産分割協議に協力してくれない。

2022年12月23日

母4分の3、姉夫婦の夫名義で4分の1の収益物件のアパート建物があるのですが、姉が死亡後、母も亡くなり相続登記をしたいのですが、姉夫婦の息子様が、すでに県外にいて「父に全部任せているからそっちに話をして。」と、全く遺産分割協議に協力してくれませんが、このまま放置しておいても問題ないのでしょうか、という相談がありました。

まず、相続登記義務化が2024年4月1日に施行されること、放置していた場合、最大10万円の過料が発生する旨を説明いたしました。姉夫婦の息子様がすでに成年に達しているとのことなので、この相続登記の義務は、彼にも発生することを話をさせて頂きました。もし、これでも話し合いに応じてくれないのであれば、弁護士にお願いして、遺産分割協議の調停・審判をするしかない旨伝えました。

紛争性はないものの、協力しない相続人がいますと、時間だけが刻々と過ぎていきます。そうなった場合、現相続人の中で亡くなる方が出てきたとき、さらに相続人が増えていきます。

世にある問題で、相続は「時間が解決してくれる」問題ではないのです。時間が経過すれば経過するほど、権利関係が複雑になります。その中には、自身が相続人になったとは知らない方もいらっしゃるかもしれません。そんな中、専門家に調査を依頼した場合、関係が希薄な相続人との遺産分割協議をすることになります。(リスクが大きくなっていくことをお話いたしました。)

まだ、元気なうちに認知症対策として「遺言書」の作成をお勧めいたします。有効な遺言書の効力は、被相続人が亡くなったときに発生しますが、残されたご家族に上記のような負担がかかることを回避することができます。

上記の事例で、夫の持ち分はしょうがないとして、母親が持っていた持ち分全てを相談者もしくは姉夫婦の息子様に相続させる旨の遺言があれば、それで持ち分移転の登記はできます。登記の申請書には、当該遺言書を添付すればよく、遺産分割抗議書及び相続人全員の印鑑証明書の添付は要求されません。

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