令和6年4月1日相続登記義務化(相続した不動産についてのアンケートから見える状況)

2023年11月01日

相続登記は司法書士の仕事となりますが、その後相続した不動産についてどのような状態になっているのか、実際に携わった案件については、継続して所有する方が多いのですが、中にはすでに県外に住まわれており、処分に困るといった方もいました。現状、どのような状況になっているのか気になっていたところ、先日HP「健美家」のサイトに、日本トレンドリサーチ・三菱地所リアルエステートサービス株式会社共同実施したアンケート(2023年9月12日 ~ 2023年9月19日、サンプル数522)の結果がありましたので、お話をしたいと思います。

目次

1.相続した不動産をその後どうしているのか

2.相続した不動産について扱いに困ったことは

3.2.の「困ったこと」は解決したか

4.相続した不動産の売却時に困ったことは

5.まとめ


1.相続した不動産をその後どうしているのか

 相続した不動産を売却や賃貸など活用されている方は、全体の33%であり、67%の方が、「そのまま持ち続けている」と回答。「そのまま持ち続けている」理由として

 ①どうしたらいいかわからない

 ➁馴染みのある場所だから・代々受け継いできたから

 ③共同保有で処分が困難

 ④現在、その物件に居住している

 ➄処分方法が決まっていない

 また、「売却した」理由として

 ①固定資産税が高い

 ➁県外に移住しており、持っていてもしょうがない

 ③兄弟で相続したが、すでに双方自己の持ち家がある

このように売却できる場合は良いのですが、場所によっては建物が老朽化しているが建て替えができないとの理由で、処分することもできないといった相談もありました。

2.相続した不動産について扱いに困ったことは

 27%の方が、相続した不動産の扱いに困ったことがあると回答されています。具体的には、

 ①老朽化した建物と不用品の山で困った

 ➁空き家となっているので防犯面と管理が面倒

 ③誰が相続すべきかわからない

 ④農地の管理(耕作者探し、土地改良費用等)

 ➄なかなか売れない・地元の不動産屋に依頼したが、何年も買い手がつかず更地だったので固定資産税が高額だった

などの切実な問題がうかがえました。③については、税理士や司法書士などの専門家の相談をすれば、活路が見つかるかもしれませんね。また、➄については、よく耳にする内容で、専門の業者でも場所によっては、処分に難航するかもしれません。

3.2.の「困ったこと」は解決したか

 ここが一番重要な点だと思います。すでに解決できたと回答した方は、36.9%で、未だに解決していない方が、63.1%となっていました

4.相続した不動産の売却時に困ったことは

 相続した不動産の売却時に大変だったことがあったと回答された方は29.9%となりました。具体的にどのようなことに困ったのかについては

 ①自分の知らない兄弟が発覚した

 ➁値段のありあいがなかなかつかない

 ③残置物の処分

 ④担当してくれる不動産屋を差額こと

 ➄共有名義になっているので、処分したくてもできない

 ⑥賃貸物件が老朽化し資産価値が落ちたのに管理が大変になっている

 ⑦固定資産税はかかるし、遠方なのでなかなか様子を見に行けない

 ⑧空き家になっていたので防犯面が不安で手入れも大変だった

などが回答として挙げられていました。

 ①は、相続人調査で発覚したものと思われます。すでに70歳を超えられて、心当たりのある方は、「遺言書」を検討してみてはいかがでしょうか。

 ➄の共有名義の物件の処分について、他の共有者がわかれば相談も可能かと思いますが、他の共有者の所在などがわからない場合については、裁判所に共有物分割を求めることができる制度もあります。一度、専門家に相談することをお勧めいたします。

5.まとめ

 令和6年4月1日より相続登記が義務化されますが、相続登記はしたものの、その物件の処分に困った経験をされている方が、約3割存在し、未だにその問題を解決できていないケースが63.1%にも及ぶことがわかります。

 解決の第一歩として、専門家に相談すること、そして処分については、このような物件を専門に手掛けている業者にお願いすることが、重要と考えます。

 アイリスでは、他士業との連携や、こういった物件を専門に扱う業者(ただし、物件の所在地によっては断られる場合もございます)をご紹介することができます。相談・紹介には費用は掛かりませんので、お気軽にお問い合わせください。

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