「空き家税」京都市提案し、国が同意へ

2023年03月24日

目次

1.空き家税とは

2.空き家税(非居住住宅利活用促進税)が検討された背景

3.今後の動向

4.まとめ


1.空き家税とは

  松本剛明総務相は、京都市が提案した「空き家税」創設に同意する方針を固めた。関係者が22日明らかにした。全国の自治体で初めて、空き家所有者に独自の税金を課すとのこと。市では住宅が不足しており、課税を避けるための売却・賃貸を促し、供給増につなげる狙いがあることから提案したものです。導入は2026年以降。効果が出れば同様の問題を抱える他都市の参考になりそうです。

 正式名称は非居住住宅利活用促進税で、自治体が独自に課す法定外税空き家のほか、日常的な居住者がいない別荘、別宅も対象で、税額は家屋の価値や立地に応じて決まる。 所有者は固定資産税に加えて空き家税を納める必要があり、税負担は1・5倍程度となる見込みです。

(令和5年3月22日共同通信記事参考)

2.空き家税(非居住住宅利活用促進税)が検討された背景

 土地に対する固定資産税が課税される年の1月1日(賦課期日)において、住宅やアパートなど、人が居住するための家屋の敷地として利用されている土地(住宅用地)については、特例措置があり、税金が軽減されています。

 空き家も固定資産税と都市計画税を支払う必要がありますが、ある程度の管理さえしていれば「空き家であっても住宅用地特例は適用される」ということになります。なお、これを更地にすると、特例は適用されません。建物が存在する土地と更地と比較すると、最大で約6倍の固定資産税の負担が生じることとなり、固定資産税の増額を回避するため、空き家を放置するケースが多くなりました。

 しかしながら、空き家を安全に維持するには相応の管理が必要です。空き家による社会問題は、人口減などが原因で空き家そのものが増えること、そして、空き家をきちんと管理できないケースが増えたことが原因だと言えます。

 そこで制定されたのが、「空き家法」です。この法律により、管理が不十分とされる空き家は「特定空き家」に指定され、「固定資産税等の住宅用地特例」の対象から外されることになりました。

 この「空き家法」で、管理を指示できるのは、権利関係がある程度わかっている場合ですが、相続登記の放置により権利関係がよくわからなくなってしまっている空き家も数多く存在します。そうなってくると、この法律によっても、空き家の適正管理は困難になってきたのでしょう。

 そうして、令和6年4月1日に施行される「相続登記義務化」の流れで、権利関係をはっきりさせ、今回の「空き家税」で、その活用の促進を狙ったものと考えられます。

3.今後の動向

 空き家税の導入は、京都市が提案したものですが、すでに国が同意しております。

 今後の空き家税の動向については、国や地域によって異なりますが、以下のような傾向になると考えられます。

 ①空き家税の導入が進む

空き家が問題となっている地域では、空き家税の導入が進んでいます。日本では、2022年1月から空き家税の税率が引き上げられる予定であり、また、一部の自治体では空き家税の導入を検討しています。

 ➁空き家税の範囲が拡大する

  従来の空き家税は、空き家を所有する個人や法人に課税するものでしたが、最近では、民泊などの短期宿泊に使用される空き家にも課税する取り組みが行われている自治体もあります。

 ③空き家再生事業との連携が進む

  空き家税は、空き家の維持管理や再利用を促すことを目的としています。そのため、空き家再生事業との連携が進んでいます。空き家を再生し、住宅不足の解消や地域活性化につなげることを目的として、地域住民や企業と協力して空き家再生事業を行う取り組みが行われています。

4.まとめ

 空き家問題の解決に向けて、空き家税が一つの手段として注目されています。今後も、空き家の状況や地域の状況に応じて、空き家税が適切に導入されることが期待されます。

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